元勝和尚の年頭所感『大いなるものに向かって』

                新年明けましておめでとうございます

  皆様にとって幸多き年になることを祈念申し上げます。

 昨年の日本は、夏の少雨(干ばつ)、秋の長雨(洪水)そして大きな台風と自然の驚異を感じた年でした。昨今大地震や台風など世界的な異常気象が日常的に起こっています。このような大自然の脅威に遭うことにより、我々は無力であること、そして日々何事もなく生活を送れていることが本当に有難いことに気付かされます。

 『大いなるものにいだかれることを今朝吹く風の涼しさに知る』

この歌は、当山第三世関精拙老師の法を継がれた山田無文老師(元妙心寺派管長)が、若い頃結核を病まれて御実家で養生されていたとき歌われたものです。

 中々病気も治らず、生きる希望も失った様な状況の中、何気なく縁側で南天を見ていた時にふっと涼しい風が吹いてきました。その時「俺はもう駄目かと思っていたけれど一人じゃなかった。孤独じゃない。大いなるものが何時も私を守り育ててくれている」と気付かれたのです。そして元気を取り戻し、大きな力を得て出家されたのです。

 私たちは、それぞれ因果因縁でこの大いなるものから生じ、やがてこの大いなるものに帰っていきます。この世に生まれてきたことに感謝し、今自分に与えられたことを全うすることが大切なのです。

スマップのヒット曲『世界で一つだけの花』には、「僕らは世界に一つだけの花 一人ひとり違う種を持つ その花を咲かせることだけに一生懸命になればいい」という歌詞があります。肝要なのは今自分に出来ることにベストを尽くすこと。後はこの私たちを包みこんでくださっている大いなるものにおまかせすればいいのです。

自分を見る方向を自分向きだけではなく、この『大いなるもの』、言い換えれば、自分以外の全てものに向けることが大事ではないでしょうか。

 物質、情報等々が溢れかえっている今の時代は、この『自分のするべき事』は何なのかを見失いがちです。水が高所から低い所へ流れていく様に、素直な心で本来の自分を見つけていくことが大切になります。

 自己を見つめるには座禅が最適です。座禅は姿勢を調え、呼吸を調え、心を調えていきます。短時間でも良いので座禅を続けることでこの『自分のするべき事』を見失うことなく、充実した毎日になることでしょう。

 座禅は決して難しいものではありません。一日一度は座禅をして自己を見つめる機会をどうか作ってください。

当院は、通年「座禅会」や「写経会」を行なっています。皆様にも参加いただき、自分自身を見つめ直し、より良い日々をお送り頂きたいと存じます。

 本年もよろしくお願い申し上げます。

  平成30年 元旦

                 徳光院住職

                    橋本 元勝  合掌

大圓山 徳光院

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